東京サージクリニック耳鼻咽喉科

嗅覚障害

 

  人の5感は聴覚、視覚、嗅覚、味覚、触覚です。耳鼻咽喉科ではそのうち、聴覚、嗅覚、味覚を担当しています。特に、嗅覚・味覚は人の生活の質の向上に役立っています。古田医師はこれまで、嗅覚と味覚について、鹿児島大学在職中積極的に取り組んできました。特に、嗅覚障害、味覚障害の診断学の分野では第一人者です。アメリカ、ペンシルベニア大学嗅覚味覚センターに留学し、その分野の研鑽し、実績を積み上げています。この項では、嗅覚障害について解り易く解説します。

 

正常ウサギ嗅上皮SEM像

嗅覚の仕組み

 

  においを感じるところ鼻腔の上部にある嗅上皮にある嗅細胞で行われます。におい物質が嗅上皮に到達して神経細胞である嗅細胞でそれを感知し中枢神経(嗅球、大脳など)に伝えていきます。しかし、におい物質をあるにおいと感じるには、学習が必要です。通常、嗅覚(力)は30歳から50歳台がピークです。若年者では、経験不足で嗅覚の力が弱いと考えられます。一方、60歳以降は嗅覚の力は徐々に低下していきます。

  人の嗅覚の力は犬と比較しますと、100から1000分の1と考えられます。それは嗅細胞の数によっているものと思います。しかし、ある特定の分野の人々、例えばソムリエや杜氏などは特定のにおいに関して優れた力を発揮しています。一般の方の約100倍の濃度まで嗅ぎ分けることが出来ます。まさに学習の賜物といえます。

 

嗅覚障害患者のCT像、最下段の嗅裂が閉鎖している

嗅覚障害

 

  嗅覚障害が発症の原因には、色々な部位で考えられます。その部位によって呼吸性、嗅上皮(嗅細胞)性、中枢性に分類されます。

  呼吸性はにおい物質が嗅上皮にまで届かないことで起こります。鼻腔内の病気によって嗅上皮への道(嗅裂)が閉鎖しているときに見られます。アレルギー性鼻炎副鼻腔炎のときの粘膜の腫れや鼻茸による嗅裂の閉鎖により嗅覚低下を認めます。突然に起こるのではなく、元の病気の程度によって嗅覚障害の程度は変化します。

  嗅細胞は神経の一部なので、神経を障害するウイルス(感冒)や慢性炎症による影響によって嗅覚障害が発生します。ウイルスによる嗅覚障害は突然に起こります。細胞が障害されると治癒は難しいと思われます。炎症によって引き起こされる細胞障害は早期であれば比較的回復するのではと思います。

  中枢性は神経障害を引き起こすウイルスや薬物によって発症すると思います。また、Malfan症候群のように先天性に嗅覚障害をもつ病気もあります。

 

嗅上皮SEM像、障害時と治療後

嗅覚障害の治療

 

  嗅覚障害の治療は上記の発症の原因によってアプローチが変わります。呼吸性嗅覚障害はアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの病気の程度によって嗅覚障害の程度は変化しますので、これらの病気の治療が嗅覚障害の治療につながります。粘膜の腫れや形の異常により嗅裂の閉鎖が著しい場合は手術的に治療する必要があります。鼻中隔矯正術、鼻内副鼻腔手術や鼻茸摘出術などです。

  嗅細胞性では炎症が伴っている場合は、呼吸性同様に元の病気を治療することが大事です。さらに神経細胞を回復させるために、ステロイドホルモン剤の内服や点鼻療法を行う必要があります。また。ビタミンB12や血管拡張剤なども有効とされています。

  中枢性では現時点では有効な手立てはありません。