いびき博士のクリニック

味覚障害の診断と治療

 味覚障害の原因は多彩です。これらの原因疾患を把握するためにも十分な問診や検査が必要です。また、それに対する治療も原因疾患を知り行うことが重要です。

 

味覚障害の診断

局所所見

 

 視診により、口腔咽頭領域の精査をします。舌苔の増減により発赤や白苔が見られます。味覚異常の場合、舌所見は正常なことが多いが、末梢受容器の味蕾に起因する障害が多いので,顕微鏡やビデオマクロスコピーを用いて舌表面の性状を観察する必要があります。乳頭の形態学的変化および内部血管陰影によって4型に分類することが出来ます。これらの変化は高齢者における加齢に伴う変化を捉えるのに役立ちます

 

味覚機能検査

 

 味覚の評価については多くの方法が各施設で行われています。本邦では多くの施設が冨田の方法に準じて行っています。電気味覚計,濾紙ディスク味閾値検査,全口腔味閾値検査が一般的に行われています。欧米では,味覚機能を重視し,味覚検査を嗅覚検査同様に,閾値検査,識別検査,弁別検査に分けて行われています.最近,塩味閾値検査用紙が作成され,簡易味覚検査として行われている。(図2)

 

味覚障害に関係するその他の検査

 

 味覚障害患者における血液生化学検査は重要です。末梢血液学的所見は炎症や貧血の情報を与えてくれます。また,肝機能や微量金属(亜鉛,銅,鉄)の測定は味覚障害の診断に有用です。また、局所因子の検索として唾液分泌機能を測定します。その他、味覚障害を引き起こす可能性のある全身疾患を検討するために、甲状腺機能検査、血糖値が参考となります。一方、味覚異常の原因に心因性のものが見られます。味覚異常の中で、自発性異常味覚は多くの場合、舌痛や灼熱感を伴うことが多く、心因性の味覚障害と考えられます。これらの症例に遭遇した場合、心理性格検査を行う必要があります。耳鼻咽喉科外来で行える検査はCMIYGテストです。神経症やうつ病の範疇に入る症例は専門医に相談します。

 

 

向島百花園の紫陽花”伊予紅”

味覚障害の治療

 

原因疾患・病態の治療

 

 原因が明らかな疾患に併発する味覚障害は原因疾患に対する治療を優先します。しかし、味覚障害では、多くの因子が複雑に絡み合っていることが多く、原因追究が重要であるが困難なことが多いようです。前述のように、食餌内容、投薬内容によっては味覚障害の原因になります。栄養指導や服薬指導が必要な症例が少なくありません。感冒罹患後に発症する味覚脱失の場合は、ステロイド漸減療法の適応です。

 

亜鉛補充療法 

 

  味覚障害の原因の多くは亜鉛欠乏症および亜鉛キレート作用に着目した薬物性味覚障害が挙げられます。味覚障害患者の多くは血清亜鉛値は正常範囲に入っていますが、亜鉛の投与によって多くの味覚障害が改善する事が臨床的に確認されています。それは組織内の亜鉛が欠乏していると考えられるからです。現在、味覚障害に適応のある亜鉛製剤はありません。そのため硫酸亜鉛や胃潰瘍に適応のある亜鉛製剤(商品名プロマック®)を投与しています。